つい先日まで巷間の噂では、10連休などという「金の連休」が存在していたそうですが、当店は通常どうり営業していたので、上級国民のような恩恵は当然皆無である。

そんな私にも金の連休中に定休日が重なった。善は急げ。令和元年を慶賀するため 行動を決意する。

「朝のジョギングついでに創成川で日本酒祭りがあるらしいから、一緒に見に行くか?」と、朝からスマホ画面に釘付けの娘に問いかけると「お父さん、日本酒祭りに行くついでにジョギングするんでしょ?」と小6の小娘に本質を突かれる。「祭りだから屋台とか出店してるみたいで、楽しそうだし行ってみるか?」と再度声をかけるが「今からフロリダするからマジで無理」とグーグル翻訳でも翻訳できない言語と、大谷翔平の切れ味鋭い速球並みの返答で粉砕される。(フロリダとは若者言葉で風呂に離脱する意味)彼女達は、「ヤバイ」「まじ卍」「それな」のシンプルな言語で通じ合う特別な世界を生きている人種だ。

地政学に於いて隣国は通常仲が悪いといいますが、各国首脳も「ヤバイ」「まじ卍」「それな」で理解できる仲になれば、今よりも平和な世の中になるでしょう。


LRG_DSC00728
さて、事ほど左様に、私のパートナーは、いつものようにモカ内親王殿下(ミニチュアダックス、5才 ♀)である。
モカ内親王殿下は不平不満もいわず、私のジョギングに同行し、一緒に汗をかく喜びを分かちあえる、そんな仲なのだ。

会場に到着すると、すでに沢山の人で賑わっております。軽く汗をかいた体に先ずは、ビールでホルシミス効果を与え心を落ちつかせます。

 IMG_9600
こんな時間からビールを飲んでいるのは、西海岸のテンション高めのアングロサクソンか、私ぐらいと思いきや、ほろ酔い人民がすでに百花繚乱しております。

大空の下で飲むビールは本当に美味しいですね。
この美味しさは、日本国憲法の前文に、「我ら日本国民は、永遠の平和を希求し、晴天下でビールを飲むことを誓います。」と一筆入れても問題ないくらいの美味しさです。

LRG_DSC00730
 

ビールの次は、令和元年を慶賀し、身を清める為にも日本酒に移ります。
日本酒の試飲は、かなり多くの種類から選べるシステムになっております。100円、200円、300円の日本酒が用意されており、好きな銘柄を選び一口500円になるよう、係りの人に専用用紙を手渡します。その後10ml位のカップに、それぞれ注いでくれます。

LRG_DSC00729
 

私の酒序列は、1にビール、 2にワイン 、3にウイスキー、 4に日本酒なので「日本酒」に対しては恥ずかしながら無知無学であり、この場に相応しくない人物だが、令和元年の現在、歴史が私を無罪にしてくれる。

テーブル席は立錐の余地もないので、立ち飲みテーブルにて早速試飲する。

やはり普段飲み慣れていないからなのか?日本酒は、どれを飲んでも「美味しい」という貧弱な語彙しか浮かばないが、肯定的に捉えると、全て一定レベル以上の完成度を保っているといえるでしょう。そして日本酒ラバーには、この空間の中に居るだけで特別なことなのでしょう。

人間は論理ではなく、心理で動く生き物ものである。

LRG_DSC00733
 

本懐であった日本酒の試飲も達成したので、次はハイボールに移ります。
ハイボールの盟友は「焼鳥」と1815年ワーテルローの戦いの頃から決まっていますので、それに従います。

焼鳥片手にハイボール、愛犬モカと肩を並べて食べていると、青い目の女性2人と初老の日本人男性の3人が、私の席横で試飲会を始めました。

1人で 飲んでいると、必然的に隣の会話が耳に入ってきます。

彼女らの言語は、英語でもなく、フランス語でもなく、ポルトガル語でもないのは、イタリア語を多少理解する私には分かります。

このグループの共通言語はロシア語でした。さらに流暢な日本語も聞き取れるバイリンガルな方達です。

青い目→外人→バイリンガル→ボンドガール→スパイ。

私は直感した。こいつら完全にスパイじゃねーか。

祖父は満州へ出兵、父は元航空自衛官のコンサバティブな血を引く私は、怪訝な顔でこの人達 を観察していると「大人しいワンちゃんですね❤️」と完璧な日本語でボンドガール母らしき人物から声をかけられる。

「あっ、ありがとうございます。綺麗な瞳の持ち主には吠えないんです。私も愛犬もロシア語は『スパシーバ』と『ゴルバチョフ』しか知らないのに貴方達は日本語お上手ですね」と返答すると、ややウケた。

その後、ロシア国花、向日葵のような笑顔を確認し、私が一方的にかけたスパイ疑惑を解除する。

ボンドガール娘が、母に愚痴って話す姿は、万国共通の姿だ。
 
「通訳のお仕事って収入ちゃんとあるの?」と母が問うと「それがさあ、ケースバイケースでさあ、1日5万円の日もあれば、ボランティアみたいな日もあるのよねえ、それよりも、なんかウザい上司との人間関係の方がもう無理かな」

多感な時期を過ごす彼女には、そう言わせるだけのサムシングが備わっているのかもしれませんが、最後に一言申したい。
カルピスと口うるさい先輩は、人生の後半に良い思い出として残るものだよ。