人類が創造、発見したものの中で現代生活の中心的存在を支配する事象に「信用」があります。
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クレジットカードや兌換紙幣、各種ローン等々も信用商品といって良いでしょう。更には「予約」という行動も、信用という信頼関係の構築により私達は円滑に物事を前に進めることができると考えられます。

ところで、グーグル先生に「予約」の定義を問いかけてみると。
 「
予約(よやく)とは、将来において契約を成立させることを約束する契約。将来成立する契約を本契約と呼び、予約により本契約を成立させる権利を予約完結権と呼ぶ。」と回答いただきました。
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私達も至るところで予約の恩恵を享受しております。例えばコンサートのチケットや飛行機のチケットは前もって購入する方が多いと思います。この手の事案はキャンセル料発生、返金不可、等々。飛行機に至ってはフライト時間に間に合わなければ、チケット購入者さえ無慈悲に置き去りにする強力な資本主義社会のパワーバランスを目の当たりにします。

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打って変わって飲食店などでは、このパワーバランスが機能しないのが昨今の現状でしょう。ニュースでも、とある居酒屋で団体客が予約をし、当日来店しないで無言のキャンセル。所謂「ノーショー」 現象が発生しております。

このような問題の解決策は後述するとして、飲食店における「予約」という行動に対しての店側、客側、双方のストーリーを時系列で見てみましょう。

予約は基本的にお客様からの行動により始まります。希望の店舗に電話で日時を伝え、人数や来店時間、利用利に関する意見交換などを済ませ、当日まで待ちます。

前日、若しくは当日、予約店に来店する趣旨や人間関係(友人、恋人、家族、接待)などにより服装の選択やプレゼントの持参や楽しい企画を考案し、当日の宴に期待を膨らませる方々もいることでしょう。

一方で今度は、店舗側の視点から見てみましょう。
店側は、お客様の予約が入ると来店時間から逆算して食材の購入や仕込み、テーブルのセッティング、調理の開始、と物事が進む。お会計後、最後に「ありがとございました」と、お見送りまでが一連の流れです。与沢翼の総資産75億と同数の地球人口約75億人
。この中から今日出会うことが出来た人々に感謝し、店側と来店客、双方が多幸感のベクトルに進み、宴の後、笑顔で「ありがとう」と心中でハグすることが出来れば、店側お客様双方に好循環が発生し、その日の夜は豊で質の高い安眠が約束されるのです。

当店におきましても、稀に「ノーショー」や当日キャンセルが発生します。
開店当初は、この手の事案に悩んだこともありましたが、現在の私は諸行無常の境地です。私が阿鼻叫喚しようと自体は変わりません。自分ではコントロールが不可能な事態に憤怒の念をおぼえてはいけないのです。そう、もう私は仙人のように達観の境地です。

お客様も未来は予測できないし、突然のキャンセルにもそれなりの事情があるし、複数店をとりあえず一度にキープしておき、後日厳選する合理的個人主義な猛者もいることでしょう。飲食店において予約という構造的システムが存在する限り、キャンセルというアクションも表裏一体の関係なのですが、やはりキャンセルの一報をスムーズに伝えることも美しい作法のひとつでしょう。

逆の立場から見てみましょう。お客様があらかじめ予約を入れた店に当日友人と訪れ、来店予定の店の入り口に「本日の営業は終了しました」と一方的に張り紙が掲げられていたら?「中々センスを感じるジョークだな」などと切り返せる西海岸辺りのアングロサクソン民族みたいな人間は皆無で、このような店を一般の人々は、高速道路であおり運転をする人間の次に軽蔑する対象になるでしょう。

飲食店は「ノーショー」のお客様にも、朝から食材の確保や仕込みに奔走し、来店予約時間の1秒前まで万全の体勢で待機しています。

私は、当日コース料理のキャンセル(これ結構エグい)や「ノーショー」のお客様の余った食材は、閉店後に良く冷えたハイボールを盟友に残さず頂きます。しかし本心は「本当はお客様に召し上がって頂きたかったなぁ」と少し心をつねられた思いで食べてます。

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まあ人間とは本来、無理解な生き物です。まだ出会ったことのない人同士が「「予約」という信用行為だけで時間や空間を購入する、人間だけが行うある意味不思議な契約です。

ノーショーも将来はスマホによる電子マネー決済のさらなる普及とテクノロジーの変化で近い将来問題も解決するでしょう。実際、東京では現金仕様不可の店舗まであるそうです。


そういえば。親友も恩人も昔は他人だったなぁ